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会長挨拶

 日本心臓血管麻酔学会第19回学術大会を、大阪北摂の地、万博公園に隣接したホテル阪急エキスポパークで9月20(土)-22日(月)に開催いたします。

 本学会のテーマは10年先の心臓血管手術に対応できる麻酔管理としました。近年の心臓血管手術はステント、デバイス閉鎖、カテーテル弁置換などカテーテル治療での治療方法が急増しています。また、心奇形の胎児診断による計画的帝王切開からの新生児心臓手術、感染によるリード線抜去術などハイブリッド手術も増加しております。QOLを考慮した小切開による心臓血管手術も増加しており、ロボットによる心臓手術も試みられ始めています。また、重症心不全に対する左室補助装置埋め込み手術の増加、法改正による心臓移植の増加なども見られています。今後数年以内には再生治療や完全人工心臓などの治療法も確立されていく可能性があります。

 こうした心臓血管手術の変遷に麻酔管理、循環管理も併せて改善進歩していく必要があります。経食道心エコー、心腔内エコーそしてより低侵襲なモニタリング法の確立、新しい循環作動薬、麻酔薬による管理などが要求されてくることは間違いありません。また、外科医だけでなく内科医、小児科、産科医そして放射線科医など多くの科の先生方が治療に参加してくるため、麻酔科医が手術室の中心となって調整する必要があります。何より麻酔科医には外科から要求される従来の守りの管理から、外科医に手術の方向性や治療方針を助言する攻めの管理が必要になってくると思われます。

 この学術大会では多くの先生方に、教育講演、シンポジウムで講演していただく予定となっています。特別講演は国立循環器病研究センター研究所長の寒川賢治先生に 未知のペプチドへの挑戦 という演題でお話しいただきます。教育講演は国立循環器病研究センターの先生方を中心として11演題を準備しました。10年先を見据えた心臓大血管手術、小児心臓手術、心臓移植、人工心肺、HITなど多種多様な内容で皆様をお待ちしております。

 シンポジウムとしてはTAVI、フィブリノーゲン製剤、超音波神経ブロック、成人先天性心疾患、大血管手術後のMEPとスパイナルドレナージ、心臓手術後の集中治療管理を用意しました。大会長企画として心臓麻酔のポイントとコツを新進気鋭の若手の先生方にお話しいただきます。例年通りのTEEセミナーでは2nd pumpをテーマにセッティングしました。

 22日の最終日にはTEEセミナーのJB-POT直前コース、専門医コースレクチャーの2本立てで多くの知識を学べるようにしています。例年通りのCPBセミナー、CPBハンズオン、エコーハンズオン、神経ブロックハンズオン、ローテムハンズオン、ウエットラボなども人数に制限はありますが用意しております。CPBハンズオンはセンター臨床工学技士を中心としてLVADやPCPSも体験できるようにしました。

 一般演題は237演題を採択しました。45演題は口演としましたが、残りの192演題はデジタルポスターセッションとしました。ポスター会場には70インチディスプレイを準備して発表できるようにセッティングしております。工夫を凝らした発表をお待ちしております。例年通りの藤田賞とともに最優秀演題賞、最優秀症例賞を用意いたしました。

 ランチョンセミナーは20,21日にはそれぞれ4演題、22日に1演題を準備しました。20日の夜にはイブニングセミナーと映画鑑賞会を用意しております。映画は17回大会会長の川村先生原作 救いたい の先行試写会となります。21日夜には懇親会を行います。大阪の名物、料理を吉本の寸劇とともにお楽しみください。

 まだまだ残暑厳しい時期ではありますが、北摂から梅田、北新地、難波、新世界へは小一時間で移動可能です。大阪の夜、食事、遊びを十分に楽しんでいただければと考えています。多くの皆様方の来阪をお待ちしております。

会長:大西 佳彦 日本心臓血管麻酔学会 第19回学術大会
会長:大西 佳彦

(国立循環器病研究センター外科系中央診療部門長、手術部長、臨床工学部長)