ご挨拶
日本心臓血管麻酔学会 第12回学術大会 会長 秦 恒彦 福岡市立こども病院・感染症センター 医療主幹(手術部・集中治療室担当) |
日本心臓血管麻酔学会の学術大会は12回目を迎えました。第1回大会が東京女子医科大学の講堂で開催されてから十二支を一巡したことになります。第 12回学術大会のメインテーマは「知識と技術の継承」とさせていただきました。本学会や関連諸学会などで蓄積された心臓血管麻酔に関する種々の知識や技術の次世代への継承、という観点を意識しながらプログラムを作成いたしました。
メインテーマと関連した教育講演として、第1日目に信友浩一先生(九州大学)の「知識と技術を継承できる基盤」、第2日目に高橋成輔先生(九州医療センター)の「分化と統合の知恵 ー麻酔科専門医は必要か?ー」とのタイトルで、我々専門家集団に対する根源的な問いかけともいうべき内容のご講演をいただけると思います。
学会第2日目のパネルディスカッションでは直前の教育講演と関連づけてお聞きいただけるようにしました。パネルディスカッション「非心臓手術時の麻酔管理 −repaired heart−」と石川司朗先生(福岡市立こども病院・感染症センター)の教育講演「フォンタン循環」、パネルディスカッション「心臓麻酔における医療安全管理を確立させるには ー裁判事例から学ぶー」と入田和男先生(九州大学)の教育講演「麻酔関連偶発症」が、それです。
上記に加えて、教育講演として角 秀秋先生(福岡市立こども病院・感染症センター)に外科医の立場から「左心低形成症候群への挑戦」について解説していただき、小児心臓手術に対する鎮静についてSuhaini Kadiman先生(マレーシア) に「Dexmedetomidine and its advantageous in pediatric cardiac patients」をお話いただきます。
パネルディスカッション「あなたが拓く(ひらく)、血栓・止血の制御 −心臓血管麻酔における展望−」と、シンポジウム「心臓手術後の脳障害を軽減できるか?」は、より緻密な周術期管理を目指すために、循環動態の直接的な制御と平行して我々が積極的に関与していくべき分野のアップデートを図っていただけると思います。シンポジウムの冒頭ではCor J. Kalkman先生(オランダ)に「Neurologic complications of cardiac surgery」と題する基調講演をしていただきます。
知識を継承する手段の一つとして文献の精読があげられます。恒例となった文献レビューでは、最新の話題と知見をコンパクトにまとめてご紹介いただけると思います。技術の継承には自ら手を動かすことが欠かせません。定員制とはなりますが、ハンズオン・参加型の企画として、人工心肺ワークショップ、超初心者のためのTEEワークショップ、中心静脈カテーテル挿入ワークショップなどを計画しています。
以上のプログラムに加えて、一般演題セッションで活発にご討議いただくことで、知識と技術の継承の一助となることを願っています。関係者相互の絆が深められ、心臓血管麻酔分野の進歩発展が促進される有意義な集まりとなりますよう、精一杯お世話をさせていただく所存です。
福岡は食べ物、特に海産物の美味しいところとしても知られております。学術大会でほどよい刺激を受けた心身を、街に繰り出してリフレッシュしていただくのもまた一興です。福岡は交通の便にも恵まれていますので、お時間があれば九州各地の観光地へ足を伸ばされても良いかもしれません。
みなさまの福岡へのお越しを心よりお待ちしています。